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【あらすじ・見どころ】『いつかティファニーで朝食を』/ マキヒロチ

〈あらすじ〉

 「目がおいしいとうれしいでしょ」

 毎朝、母はテーブルに乗りきらないほどの朝ごはんを用意してくれていた。

 ある朝、マリコはそんな昔の食卓のことを夢で見た。

 目覚めると汚い部屋と関係がうまくいっていない彼氏の創太郎。朝ごはんも既製品のおにぎりやパン。そんな生活にマリコは不満を抱いていた。

 しかし、友達と会って悩みを聞いてもらおうとするも夜はみんな都合が合わない。その時思い出したのが、創太郎と行こうと約束していたものの行くことができなかった「朝食が食べられるカフェ」。

 マリコは友人と話し、美味しい朝食を食べることで、自分が大切にしたいものに気付く。

 マリコは創太郎と距離を置き、理想の朝食を求める日々が始まる。

 思わず涎が出てしまうような料理が盛りだくさんのグルメマンガ!

 

 

 

〈見どころ〉

 

見どころ① 美食!美食!

 まずは何と言っても、登場するグルメの数々!朝食だからと油断していると痛い目にあってしまう。

 私は朝ごはんを作るの面倒というタイプで、時間がないから食べない、なんて選択する日も少なくはない。そのため普段のパン一枚という生活と比べてしまうと、何百倍も美味しそうな料理が登場する。

 いつもそれほど意識したことがない「朝食」だったが、これを機に食生活を見直そうかな、なんて思ったりもした。

 少し脱線してしまったが、「朝ごはん」を見つめなおす良い漫画だなと思った。

 まず、朝ごはんと聞くと簡素で種類が少ないと想像する人が多いだろうが、そういうものだけではない。トースト、定食、ラーメン、おかゆ、うどん、パンケーキ……などなど、ジャンルは多岐にわたる。朝ごはんだけでそんなに選択肢があるのか、と正直驚いたし、朝から営業している店がチェーン店だけではないことにも驚いた。

 しかし、時間がない朝に手間暇かけて定食やラーメンを準備というのはなかなかできるものではないだろう。そういうことを考えると、朝ごはんを外で食べるという選択は面白いと感じた。

 また、そういう選択肢にない朝ごはんが出るので、一層おいしそうと思ってしまう。

 ちょっと早起きして、自家製パンを焼き、スープを作り、洋ナシのサラダを作って食べる。今、字として並べただけでもなんだかお腹が空いてきた。

 こんな感じで美味しそうな料理が次々出てくるのが、最初の見どころだ。

 

 

 

 見どころ② 食べに行ける!

 そして、作中に登場するご飯は食べに行くことができる!

 コラボカフェとかではなく、登場するそれぞれのお店は実在する。そのため気になったお店に行って美味しい朝食を食べるという実体験をすることができる。

 しかも巻末には少し詳しい解説や地図など情報も載っているので、より簡単に足を運ぶことができる。

 もちろんストーリーも面白いのだが、なんだかグルメ雑誌を読んでいる気分にもなる。

 そして一部レシピもついているので、朝ごはんをあまりつくらないという私みたいな人間にも非常に優しい。

 登場人物が美味しそうに料理を頬張るのを見てしまうと、食べたい!って思うし、作ってみたい!とも思ってしまうのだから料理マンガというのは罪なジャンルだ。

 そういうわけで、気になるお店があればぜひ足を運んでみてはいかがだろうか?

 

 見どころ③ 和気藹々

 あたたかい食事という表現があるが、食事には人の温かさも大きく関与すると思う。

食事は人と人をつなぐ場であるからだ。

 このマンガはヒューマンドラマの要素も強い。しかし、食事という場を通して、各々が悩みを打ち明け解決していく。あるいは食事という場を通して交流をし、仲を深める。

 実際、私も悩みがあれば飲みに出かけたりだとか、近況を話すために食事に出かけたりなど、その大切さは理解はしていたつもりだった。

 このマンガはそんな「人の温かさ」にも目を向けている。

 食事で心が温まり、人間関係も温まり、それを読む私もなんだか心がぽかぽかしてきた。

 大人となった女性たちが食事を通して一時の幸せを得る瞬間は、なんとも心が和む。

 癒しを求めている人にぜひおすすめしたいマンガでもある。

 

 

〈総評〉

 「食」をテーマに、美味しい物好きな人たちが幸せを分けてくれるマンガ。

 グルメに興味がある人も、どこかさみしい人、小さな幸せが欲しい人にお勧めしたいマンガです。

 

〈書籍〉

 マキヒロチ 『いつかティファニーで朝食を』 新潮社

 

いつかティファニーで朝食を 1巻 (バンチコミックス)

いつかティファニーで朝食を 1巻 (バンチコミックス)