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【あらすじ・見どころ】『東京卍リベンジャーズ』/ 和久井健

〈あらすじ〉

 26歳フリーター・花垣タケミチ。何にもうまくいかないタケミチは謝って謝って謝り続ける人生を続けていた。そんなある日、中学二年生の時付き合っていた、人生唯一の彼女・橘ヒナタが東京卍會の抗争に巻き込まれて亡くなったとニュースで報道される。それをきっかけに、何となく自分の人生を振り返っていると、電車のホームから突き落とされる。`死ぬ`と思った瞬間、思い出したのは親でも友達ではなく橘ヒナタであった。全盛期の中学二年生のこと走馬灯のように振り返っていると、十二年前の中学二年生の時代にタイムスリップしていた。

 タケミチの転落人生の原因。すべては中学二年生の時、隣の中学の不良にケンカを売ってしまったこと。その先輩が所属しているのが、なんと橘ヒナタが死ぬきっかけとなった東京卍會だった。「東京卍會さえなければ……」。橘ヒナタを救うため、逃げ続けた人生を変えるため、タケミチは関東最凶不良軍団の頂点を目指す。

 

 

 

〈見どころ〉

 

見どころ① ありったけの泥臭さ

 皆さんは不良マンガといえば何を思いつくだろうか?

 クローズ、ろくでなしブルース今日から俺は‼……などなど。

 しかし、今あげた作品や多くの作品は圧倒的な力を秘めた主人公が、とある高校

の頂点を目指すというストーリーである。

 一方、この作品の主人公・タケミチは力なんて全く持っていない。

 それでいて、トップを目指すというあまりないタイプのストーリーである。

 爽快感は多少劣るかもしれないが、上へのし上がる泥臭さ、男臭さが感じられるので、読んでいて心にグッとくるものがある。

 

 

見どころ②  持ち物は思いだけ

 そんな彼の彼の武器は一体何なのか?
 何も武器がない状態でトップを目指せるほど甘くはない世界。

 彼の武器は、「熱い思い」

 過去を変えなきゃヒナタは助からない。

 過去を変えなきゃ友人たちは助からない。

 心に灯る情熱が彼の最大の武器であり、泥臭いといわれる所以である。

 彼のように熱い気持ちがあれば、人生を変えることもできるのかもしれない。

 そんな気持ちだけで人生の大逆転を目指すという展開がおもしろさでもある。

 

 見どころ③  意外と現代的な時代観

 不良マンガといえば『昭和』と想像する人も多いのではないだろうか?

 このマンガの舞台は2005年。いわゆる一昔前という昭和の雰囲気と懐かしさも残りつつ、インターネットが次第に普及するなど新しさも加わった時代。

 そんな少しモダンな不良な青春が描かれているのも少し新鮮である。

 

 

 

〈総評〉

 近年は不良マンガが減衰しているように感じるが、少し現代的な不良マンガも存在している。爽快感はあまり感じないかもしれないが、主人公は投影しやすい性格だと思うので、読むこと自体はそんなに苦にならないのではないかと感じた。

 普段は読まないという方も、まずは一話読んでみてほしい。

 

〈書籍〉

 和久井健 『東京卍リベンジャーズ』 講談社