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【あらすじ・見どころ】電脳コイル(アニメ版)

〈あらすじ〉

「電脳眼鏡」というメガネ型のコンピュータが普及した世界。子供たちの間でも「電脳眼鏡」を使った遊びが流行っていた。

 小此木優子は父の仕事の影響で金沢市から大黒市に引っ越してくる。ヤサコの電脳ペット・デンスケは「古い空間」に迷い込んでしまう。そこで出会った「電脳探偵」のフミエによって助けてもらう。

 翌日の放課後、デンスケは謎の少女に誘拐されてしまう。そしてデンスケが謎の儀式に利用されそうになってしまう。その少女こそ、転校してきたもう一人のユウコ・天沢勇子だった。

 ヤサコは生物部部長のハラケンとフミエとともにイリーガルについて調査する。

 同じタイミングで引っ越してきたヤサコとイサコ。デンスケを巻き込んだイリーガルという存在。そのイリーガルが原因とされるハラケンの幼馴染・カンナの死。イサコが行う謎の行動。そして大黒市に蔓延る「古い空間」。謎が謎を呼ぶ、小学六年生の夏。現実と電脳の世界を交差して描いた青春ストーリー。

 

 

〈見どころ〉

 

見どころ①

 この作品の見どころはまず、日常に隠れた不穏ではないだろうか。小学生という一般的には明るい存在と、本来なら相反する存在である暗い闇が同時に描かれている。

 まず、OPからその兆候が表れている。そこから作品の雰囲気というのがわかると思う。

 正直リアルタイムで見ていた当時は怖くて、進んで観ようとは思わなかった。

 明るい学校や普段通るような市街地でも、その不穏が現れてくる。 

 ホラー映画なんかでも正体がわからない存在は恐ろしく感じるが、この作品でも同じである。物語の終盤まで、謎がはっきりしないので推理とスリルを同時に味わうことができる。それに電脳世界という未知の場所というのが、恐怖を加速させる。

 正体不明のものと闘うというのが見どころの一つだと考えられる。

 

見どころ②

 次に、小学生の夏というテーマも見どころの一つであろう。

 不穏があるとは先に述べてはいるものの、物語の軸はヤサコ・イサコを中心とした小学校である。

 プールや夏祭りなどのイベントはもちろんあるが、小学生らしいイベントも多々ある。電脳駄菓子屋で展開されるおばあちゃんとのやりとり、「電脳探偵」という心浮き立つような団体、そして電脳眼鏡を駆使した戦闘シーン。どれも見ごたえがあるものばかりだ。

 また、舞台となる大黒市は古都ということで神社や自然がたびたび登場していて、どこか懐かしい、ノスタルジックな雰囲気が出ている。

 

見どころ③

 これは見どころに含まれるかはわからないが、現実世界と電脳世界の共存の難しさが描かれている。これから電子化やインターネット技術の向上によっては起こりかねない問題ではないかと思う。その点において考えさせられる作品でもある。

 主要人物であるヤサコ・イサコなどは学内などに電脳眼鏡を持ち込み、先生に注意されるという描写もある。インターネットが身近になると、学校での問題にも発展する危険があるとも考えてしまう。

 実際、電脳眼鏡をよく知らない彼女らの親たちは、ヤサコたちが事件に巻き込まれているということは知らずにいた。あくまでフィクションであることは、私も重々承知しているが、このご時世である。本当に危ない事件に巻き込まれる可能性も捨てきれない。

 

 また、現実世界と電脳世界が交差するあまり、見分けが全くつかなくなるという事態も起きる。電脳眼鏡に頼りきり、その世界やペットに依存する子供たち。電脳世界で手に入れたものは果たして本物ではないのか、電脳世界を通じて手に入れた友情や感情や成長は虚構に過ぎないのか、現実世界で手に入れたものだけが正義なのか。

 そのような葛藤の描写はすごく考えさせられると思いました。

 

 青春を追体験したい方、SFチックな世界に飛んでみたい方、ぜひ観賞してみてください!

 また小説版もございますので、文字で堪能したいという方はそちらでもぜひ!

 

 

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〈作品〉

電脳コイル』(2007)