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知らなきゃいけない年金の話 Part3

 

 こんにちは。ミヤムラです。

 皆さんは年金についてどこまで知っていますか?テレビや新聞で流れてくる情報だけを鵜呑みにしてないでしょうか?

  

  

 これまで同様、引き続き年金に関する本当の話をしていきたいと思います。

 

 前回までの話はこちらから↓

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 Part 3 年金制度、実は……

 

 

1 支払ったお金は消えてしまう?

 年金は国に貯金する仕組み、というのはこれまでに話しました。

 しかし、年金の保険料として集めたお金は国が大切に保管していると思っていませんか?65歳になったらどこかの金庫から引っ張り出して支給するわけではありません。

 

 それでは預けたお金はどこに消えるのかというと、高齢者のために使われます。

 例えば、現在年金を払っている場合、そのお金は国を通して現在の年金受給者のために給付されます。支払ったお金は貯蓄としてあるわけではなく。すぐさま消えてしまいます。そのため、銀行預金のように出し入れが自由にできません。自分たちの負担したお金は高齢者に支給され、きれいさっぱりなくなるからです。つまり現在の20~60歳は、現在の高齢者のためにお金を支払っているといえるでしょう。

 

 逆に言えば、自分が高齢になった場合、若い世代に支えてもらうことができます。

 

 そう考えれば、高齢者を支えていく良い制度といえるでしょう。 

 

 

 

 

2 資産運用をしている?

 

 現在の日本では少子高齢化が急速に進んでいるため、現役世代の保険料だけでは年金給付を賄うとなると保険料の引き上げまたは給付水準の低下が避けられません。

 そこで公的年金制度では一定の積立金を保有し、、「年金積立金」という形で資産運用を行っています。厚生年金と国民年金の積立金は年金積立金管理運用独立法人(GPIF)などによって管理・運用されています。これらは国内の債券と株式を買い運用されています。

 

 

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厚生労働省HPより) 

 

 

 

 

 

 

 

3 そもそも年金は保険なんです その①

 

 年金が少ない、なんて思ったことはありませんか?

 これは本当にニュースでとりあげられる話題ですよね。「払い損」とかよく聞くのはそういうことではありますが、ここでは「払い損」問題のことは除いて考えていきたいと思います。

 

 でも、年金だけで生活しよう、というその考え自体が間違いなんです。

 なぜならば、年金はあくまで「保険」だからです。

 

 例えば、Aさんが自動車事故を引き起こしたことを考えましょう。大きな事故であったため、治療費や慰謝料を含め5000万円請求されました。Aさんは自動車保険に入っていましたが、契約プランでは3000万円までしか保証してもらえませんでした。

 この時、Aさんは「もっと保証しろ」と訴えれば保証してもらえるでしょうか。いや、されないでしょう。もともと、その分の保険料しか払っていませんから当然でしょう。

 

 

 年金も同じで、基本的には支払った分の補償しか受けることはできません。それ以上の年金を貰いたいならば、それだけ多く年金を払う必要があります。

 払った以上のおかねは貰えない、というのは実に基本です。金額を引き上げろ、なんて意見は通用しません。

 

 

4 そもそも年金は保険なんです その②

 

 

 まず、民間サラリーマンの年金として労働者年金保険法が成立したとき,年金額は残加入期間を平均した標準報酬の年額25%でした。立法に携わった厚生省保健院金年金保険課長の花澤武夫は「国民に早老の気風を誘うので、これを防止し、老後生活に必要な最低限度の生活するにとどめ、老後の生活をすべて年金に頼ることの内容に注意を払った」としています。

 

 

 2004年に年金に関する改革が行われる以前の65歳時点で受け取る年金額についてみると、所得代替率の60%から乖離させないように設定していました。所得代替率とは現役世代の賃金(手取り)のうち何パーセントにあたるかということです。手取りが20万円で支給額を所得代替率60%に設定するのならば12万円支給されるということです。

 

 

 これが2004年の年金改革によって大きく変容しました。それまでは「給付水準に合わせて保険料を増減させていく」という手法をとっていましたが、保険料が増大していうのを恐れたため、「保険料の上限を設定して、それに合わせた給付額にする」という手法に転換しました。これに伴い、所得代替率の下限を50%に設定しました。

 つまり、年金を受け取るとしても、平均的に見た場合。自分が現役時代の半分しか給与が受け取れないということです。

 

 高齢者向けのサービスや保証が充実していることや、住宅費などの固定費にお金をかけないと考えても、年金だけの生活では生活水準は著しく低下するでしょう。少なくとも年金だけでは、働いていたときと同じ水準での生活はできないでしょう。

 

 

5 まとめ

 

 国としても「年金にだけ頼った生活を」というようなことは述べていません。また給付水準からみても、貯蓄前提であることは明らかです。

 さらに、次回のPart4で述べますが、最低限のお金を守るものです。

 ですから、老後の貯蓄を考えず、むやみにお金を使うのではなく、計画的に使っていくほうが好ましいといえます。

 

 

 さて、ここまで年金制度の歴史と現状を見てきたわけですが、一番大事な点についてまだ軽くしか触れていませんね。

 

 そう、年金制度の問題点とこれからの課題です。おそらく、ここまで読んでいただけたなら、おおよそ見当はつくかもしれません。

 まず、Part4では問題点、そして最終回Part5では解決策についてまとめていきたいと思います。

 

 ぜひ、次回も宜しくお願いします。

 

 

 

 

 

※ この記事の作成にあたり出来る限り多くの文献・サイトを参考にしたうえで執筆いたしました。十分に注意しているつもりですが、間違った内容であったり、簡略化するために誤解を生むような表現をしている可能性があります。

 疑問点や修正すべき点がございましたら、コメントにて質問・ご指摘お願いいたします。

 

 

(参考サイト・文献)

 

厚生労働省 「年金・日本年金機構関係」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/nenkin/index.html

最終アクセス 2019年6月8日

 

鈴木亘 (2009年) 「騙されないための年金・医療・介護入門-社会保障改革の正しい見解・考え方」 東洋経済新報

唐鎌直義・小澤薫・久昌以明・宮本悟 「どうする!あなたの社会保障 ③年金」 株式会社旬報社

芝田英昭 「基礎から学ぶ社会保障」 自治体研究所

上村敏之 (2009年)「公的年金と財源の経済学」 日本経済新聞出版社