知らなきゃいけない年金の話 Part1
こんにちは。ミヤムラです。
さて、いきなりですが、みなさんは年金制度についてどこまで知っていますか?
「払い損」とか「年金制度は崩壊する」などはテレビでよく報道されているため、聴いたことがある人も多いと思います。
最近ですと先日、朝日新聞の朝刊で「人生100年、蓄えは万全?」という見出しで書かれた年金問題への批評が、ネット上で物議を醸しました。
金融庁の発表した「高齢社会における資産形成・管理」というタイトルの報告書安に対して、朝日新聞は「政府が年金など控除の限界を認め、国民の『自助』を呼びかける内容になっている」という内容で紹介しました。
そのためネットでは「高い年金と税金は何のために支払っているのか」「それなら年金を徴収する意味があるのか」「それなら他の制度をもっと充実させるべきでは」などといった批判が殺到しました。
ただ、テレビや新聞の知識だけで批判していませんか?
ネット上では筋違いな批判や、間違った知識のまま意見を述べる方をよくみかけます。
そこで年金について正しい情報をpart1~6に分けて、出来るだけ専門的知識なしでも理解できるように説明していきたいと思います。
これを機に、年金についての正しい知識を身に付けませんか?
まず、今回のpart1では年金制度の基礎的な部分を紹介していきたいと思います。
PART1 年金って何なの?
1 年金ってどういうもの?
年金とは簡単に言うと、「給料の一部を国に預け、働けなくなった老後に受け取れる制度」のことです。
この預ける額を「保険料」、受け取る額を「年金」などと呼びます。
すごいざっくりとした意味では、お金を使いすぎないように国が代わりに貯金してくれている、というイメージです。
小学生の時にお年玉を貰っても、「あなたの将来のためにとっておくから」などと言われ、お母さんに没収されませんでしたか? まさしく、国がお母さんのように使い過ぎを防ぐ役割を担っています。ただ、お母さんと違って年金は現金として戻ってきます。
この制度は「アリとキリギリス」のキリギリスにならないように国民を管理するものと考えてもらえれば大丈夫です。若いうちに無計画にお金を使って老後にお金がない、なんてことを防ぐためにお金を管理するものです。お金を使いすぎて年を取ったら生活保護なんて、節制してコツコツ貯金をしていた人が聞いたら大激怒だろう。
その生活保護の代わりに、自分で責任を持ってもらうための制度が年金という制度になります。
なぜこのような制度が生まれたのかは少し長くなるのでPart2のほうで解説していきたいと思います。
ここでいう年金とは「老齢年金」のことを示します。みなさんがパッと思いつく、年を取ったら貰えるお金のことです。今回は記事では簡略のため、「年金」=「老齢年金」として扱いたいと思います。本来、年金には他にも「障害年金」と「遺族年金」がありますが、趣旨と離れてしまうのため、後でサラッとだけ説明します。
この老齢年金にも種類があり、国民年金と呼ばれるものと厚生年金と呼ばれるものがあります。
国民年金は20歳から60歳未満のすべての人が加入します。さらにその中のうち、会社員と公務員は厚生年金を支払う必要があります。(自営業者や専業主婦は厚生年金を支払う必要がありません)
2 年金制度を詳しく見る
2.1 受け取り資格について
保険料納入期間に、免除期間を含めた25年以上支払っていることが条件です。この条件が満たされなくても特例措置がとられる場合もあります。
2.2 年金の種類について
「年金」と聞くと年を取ってから受け取るものというイメージを持つかもしれませんが、そんなことはありません。
年金には老齢年金・障害年金・遺族年金の3つがあります。
① 老齢年金
ほとんどの方がイメージする年金がこの老齢年金です。
老齢基礎年金(国民年金を支払った人)は原則として25年以上支払った人が65歳に達したときに支給されます。減給付きの繰り上げ支給、増額付きの繰り下げ支給が可能です。
老齢厚生年金(厚生年金を支払った人)も受給資格を満たした人に65歳から支給されます。
② 障害年金
これは年金加入中の病気やケガによって仕事や生活ができなくなった場合にお金を支給するという年金です。
手足や眼、耳などの外部障害から、統合失調症・うつ病などの精神障害、さらにがんや糖尿病などの内部障害など、対象となるケガや病気は多岐に渡ります。
受け取り条件としては、対象となる病気の初診日の前々月までに、2/3以上支払っていること、または初診日の前々月までに一年間の未納がないことが条件になります。
③ 遺族年金
これは年金受給者や被保険者が死亡した場合のうち、その人にによって生計が維持されていた場合に支給されます。
受け取り条件は障害年金と同じになります。
なお、それぞれの年金として受け取れる額の計算は複雑で、支払った年数や条件によっても異なるので、詳細を知りたいという方は厚生労働省の日本年金機構に関するサイト(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/nenkin/index.html)などを参照に、調べてみてください。
2.3 免除制度・猶予制度
全てのひとがきちんと年金を支払えるような経済状況であるとは限りません。そのため年金には免除制度と猶予制度が存在します。
免除制度は一定の所得基準に満たない人が保険料の全額・一部を免除できるという制度になります。免除した分の期間分は、年金額が少なくなります。しかしそれでも免状額より受け取る額のほうが大きいので(全額免除した場合、受取額は1/3になる)、所得再分配効果を持ちます。
支払い猶予制度には「学生納付特例制度」と「若年納付猶予制度」があります。
これは学生あるいは所得が少ない若者の保険料を最大10年猶予するものです。しかし、免除制度と違って猶予期間分の年金を受け取ることはできません。
〈今回のまとめ〉
今回は年金制度についておおまかにですがまとめていきました。これで基本中の基本は理解できたのではないでしょうか?
しかしこれだけでは、年金制度の存在意義や問題点などは見えてきません。
そこで次回のPart2では「年金制度の歴史」を通して、なぜ年金が生まれたのか、現在の制度になったのかを見ていきたいと思います。
※ この記事の作成にあたり出来る限り多くの文献・サイトを参考にしたうえで執筆いたしました。十分に注意しているつもりですが、間違った内容であったり、簡略化するために誤解を生むような表現をしている可能性があります。
疑問点や修正すべき点がございましたら、コメントにて質問・ご指摘お願いいたします。
(参考サイト・文献)
厚生労働省 「年金・日本年金機構関係」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/nenkin/index.html
最終アクセス 2019年6月8日
鈴木亘 (2009年) 「騙されないための年金・医療・介護入門-社会保障改革の正しい見解・考え方」 東洋経済新報
唐鎌直義・小澤薫・久昌以明・宮本悟 「どうする!あなたの社会保障 ③年金」 株式会社旬報社
上村敏之 (2009年)「公的年金と財源の経済学」 日本経済新聞出版社