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「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」 あらすじ・感想

 

 〈この本について〉

 2014年に宝島社から出版された七月隆文さんの書下ろし作品。

 2016年に映画化された際には、福士蒼汰さんと小松菜奈さんが主演、

 back number の「ハッピーエンド」が主題歌に採用されている。

 

 

 〈あらすじ〉
 京都の大学に通う青年、南山高寿は通学途中の電車で一目惚れをする。
 葛藤の末、彼女・福寿愛美に話しかけることに成功、やがて交際にまで発展する。

 仲を深め、次第に彼女自身のことも少しずつ分かり始める。

 泣き虫な彼女。不思議な一面を持つ彼女。
 そんな彼女にはある秘密があった……

 

 

 〈感想〉

 運命の赤い糸なんて表現はありきたりの陳腐な表現かもしれない。

 しかしながら、誰もが一度は憧れたことがあるであろう。

 この作品はそれを描いたともいえるだろう。

 

 この作品の特徴として、まずリアルな男女の会話が表現されている点だ。

 初々しい、それでいてドキドキするようなさりげないキャッチボールに、どうも気恥ずかしさやもどかしさを感じる。

 だが、それが甘酸っぱい。そこがこの小説の醍醐味であると感じる。

 

 また自分に置き換えられるような、ありふれた日常と情景を描いたものである。頭にスッと入り、体の中を突き抜ける、爽やかな文体だ。

 丁寧な構成と言い回しは、次々にページをめくらせる。

 例え、普段小説を読まない方でも比較的読みやすいのではないだろうか。

 

 自分としては恋愛小説はそれなりには読んできたつもりではあるが、これこそが王道であろうと思えるようなストーリーだった。

 この小説は主人公と、彼女の抱える謎が主軸になって展開していくが、恋愛とミステリー要素という二重のドキドキ感を得られる。

 加え、純愛ならではの気持ちの錯綜・交差が何とも言えない。

 小説を読んでいて泣いたことはないのだが、ラストシーンでは思わず泣いてしまっていた。

 

 

 性別・年代問わずに読んでほしい一冊である。

 是非、この世界での恋愛を味わってほしい。

 

 

 

【書籍】

七月隆文・(2014)『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』 宝島社

 

ぼくは明日、昨日のきみとデートする (宝島社文庫)

ぼくは明日、昨日のきみとデートする (宝島社文庫)