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『宇宙よりも遠い場所』どうしても物申したいことが

 

 

 『宇宙よりも遠い場所』、通称よりもい、という作品をご存じでしょうか?

 

 ネットなどで素晴らしいと囃し立てられ、ニューヨークタイムズ紙の「2018年 優れたテレビ番組(THE Best TV Shows of 2018)」の海外番組部門の10作品のひとつにも選出されています。

 

 そんな高評価を受けていたアニメ。「宇宙よりも遠い場所」。それほど言うならば少し気になるなと思い、まずはあらすじを見ることに。

 どうやら女子高生が南極を目指し旅をするというものらしい。珍しい設定の組み合わせに俄然興味が湧きました。いったいどんな話なんだろうって。 

 だって気になりません?普通の女子高生は南極に行く機会なんてまずない。それなのに、どうしてって。個人的興味と高い評価という後押しもあって、視聴することに。

 

 

 

 その感想を一言で言うと、「残念」。あまりに期待しすぎたのか、単純にそういう勢いで視聴してしまったからなのか、期待からの落差が激しかったですね。

 

 でも一番は周りの評価が高かったということが大きな要因かなと思います。見ていくうちに失望のほうが大きくなり、逆になんでネット上でそこまで好評かであったのか、そういった疑問のほうが大きくなりました。

 

 そういう疑念・不信が強すぎたので、今回は「宇宙よりも遠い場所」を1話1話の感想を書き連ねていきたいと思います。

 

 

 どうしても批評だけ見たいという方は下の記事からどうぞ

 

honnosusume.hatenablog.com

 

 

 

〈はじめに〉

 

 まず、留意していただきたいポイントが何点かあります。

 

 一つは、作品全体を否定する気はないといこと。そういうつもりではないということは分かっていただきたいです。

 この作品にも優れているところはあります。特に映像美についてはかなり優れているなと感じました。南極をテーマに掲げていることもあり、風景の透明度が高く、またぼかしも随所に盛り込まれていて、技術力の高さがうかがえました。アニメーションだけでも十分に見る価値はあると感じました。そして、主役4人も水瀬いのり花澤香菜井口裕香早見沙織と名だたる実力派声優がそろっており、安心感すら感じる演技にはもう素晴らしいとしかいいようがないくらいです。

 

 

  もう一つは好きで批判しているわけではないという点です。何も全面的に否定したいわけではなく、普段であれば批判するぐらいならレビューしないというスタンスでした。しかし、この作品に関してはあまりに言いたいことがあるので感想を連ねていきたいと思います。

  その言いたいというのは制作陣に対してです。すべての感想を書き終えてから詳しいことは述べたいと思いますが、問題はストーリーの安易さにあると思います。特に南極と南極観測隊が、大人に消費されるだけのコンテンツとしてしか見られていないという点に憤りを感じました。もうちょっとどうにかすることは出来なかったのかのかということで、今回批評を書こうと決意しました。

 

 そのため、初めの感想では大いに荒れてしまうので、その点は留意していただきたいと思います。

 

 

 

 

 

 

〈あらすじ〉

 

 「青春する」。そう決めてから一年。 キマリこと玉木マリはその目標を実現できないまま高校二年生をむかえてしまっていた。

 ある日、キマリと同じ学校の生徒が駅で封筒を落とすところを目撃する。その中身は現金百万円。そんな大金を手にしてしまったキマリは学校で持ち主を捜索する。その持ち主は「南極」と呼ばれる少女・小淵沢報瀬(こぶちざわ しらせ)であった。彼女は3年前、南極で行方不明になった母・小渕沢貴子の遺品を見つけるため南極を目指していた。

 キマリはシラセに感化されて南極に向かうことを決意する。その資金集めのためバイトを始めたキマリは、南極に興味を持ったバイト先の三宅ヒナタと3人で南極を目指す。

 

 しかし当然ながら南極に行きチャンスというのは簡単にはやってこない。そこに南極に派遣予定の女優・白石ユヅキがやってくる。彼女やマネージャーである母と話すうちに南極に行く権利をどうにか手に入れる。

 

 4人で目指す南極。果たしてそこに待ち受けるのは何か。友情と夢を描いたハートフルストーリー。

 

 

 

 

〈感想〉

 

 

  

 講評とかは後にまとめるとして、 まずは1話1話の感想を述べていきたいと思います。初見ながらいろいろなことを思いながら見ていたので、それをまとめていきたいと思います。

 

(※注意  結構な感じでディスりを入れてしまっています。これは今回批評するうえで必要な感想だと思っているので、そういうものが無理な方は見ないようにお願いします。またネタバレも含みますので、そこも注意してください。あくまで一個人の意見です。参考にするしない、納得するしないは視聴者側に一任します。)

 

 

 

 

〈第1話〉

 

 

 まずキマリとシラセが出会うシーン。

 階段を駆け上がるキマリを、走るシラセが追い抜きます。その際、シラセの鞄から封筒が落ちます。何とそこに入っていたのは100万円。

 

 いやいやシラセちゃん何やってるの?なんで100万円を鞄に携帯してるの?

 うっかりしちゃった、テヘ。なんてことじゃすまない金額なのに……。この導入の時点で少し違和感を覚えたのですが、設定ということでまずは受け入れることに。物語動かすため人は仕方がないのかな。そうやって自分を納得させて第一話を見終えました。第1話としては特にそこまでひどいとは感じませんでした。 

 

〈第2話〉

 

 キマリとシラセは本気で南極を目指そうと力を入れます。しかし、親友のめぐっちゃんは本当に南極に行けるのかと心配しています。 

 正直ここが大きな壁だと感じていました。どうやって普通の女子高生がどうやって南極にいくのだろうと。

 

 そんなキマリに対してシラセは「知り合いが観測隊にいるから」「小淵沢貴子の娘だから」の1点張り。

 いや、それだけで本当にそれだけで行けるのか?お金が必要というのはわかるけど、南極に行く手段を探したほうがいいのでは、という疑問。

 

  結局具体的な手段は示さず、キマリをはぐらかして終わります。それってどうなのかな。シラセに対する不信感が募ってきました。

 

 そして、心配するキマリに対しては逆ギレ。一緒に行ってくれるのかが心配というのはわかるけど、手段を明らかにしなければみんなついてこないよ。そりゃ誰だって心配なるよ。

 本人は「ちゃんと作戦もある」とは言うけど、本当に大丈夫なのか。今までの動向見てると結構不安なのだけど……。

 

 

 その後突然向かう歌舞伎町。シラセの作戦は南極観測隊員をどうにか(主に色仕掛け)で誘い出して説得するという物だったらしい。

 ・・・・・・。何それ。作戦なの?

 歌舞伎町の数ある酒場からどうやって観測隊員が集まる居酒屋を特定できたのかはとりあえず目をつぶろう。

 にしても強引すぎるよこれ。なんだこの展開。南極観測という規模の大きさに対して直談判でどうにかなると思っているシラセの甘さ。人間性を疑ってしまいますね。

 

 ここでシラセとキマリに頼み、自分では全く動こうとしないシラセ。もうここまで来るとあきれて言葉が出ませんね。南極に一番行きたいのは君じゃないのか?それなのに何も行動しないのは違うだろよ。

 

 

 そしてシラセは観測隊員に顔がバレてるため、見つかると同時に追いかけられてしまいます。3人は散り散りに歌舞伎町を全速力で逃げ回ります。

 いや、そこまでしなくてもよくない???そんな全速力で逃げなくてもいいでしょ?

 「そんなに息きらすまで走らなくても」と三人を捕まえた観測隊員のかなえさんは言いますが、じゃああなたもそんな本気で追いかけなくてもいいでしょ。

  

 何がしたい回なんだろうと思いましたね。別に最初から話せばよかったのに。

 ここまで内容が内容なだけ先行きが不安になってしまいました。

 

 

 

 

 

〈第3話〉

 

 ここでは第2話の振り返りから。 

「あんな無茶な作戦押し付けておいてどの口がおかしい」とシラセの前回の作戦にヒナタとキマリは怒ります。そりゃそうだよな。

 南極という一大プロジェクトに携わろうと誘われて、自分も行く気になったのに、その手法が色仕掛けなんて。私が本人だったら間違いなくブチ切れますね。

 

 

 そこでとあるニュースが飛び込んできます。白石ユヅキという芸能人が南極にいくというもの。それを知ったシラセはさっそく事務所を調べ、「ここに電話かけて」とキマリとヒナタに命令します。

 この3話の時点でシラセの評価は最悪ですね。何もしないくせに、命令ばかり。これは批判されても仕方ないでしょう。自分で全く行動しないのは人間的にどうなのだか。

 

 そこに突然やってくる白石ユヅキ。まさかの本人が登場してきてしまいますね。彼女は南極に行く権利を受け渡すためにやったきました。どうやらよっぽど南極に行きたくないらしくて、歌舞伎町で見かけたシラセたちにどうにか権利を渡したい。

 

 事務所の許可なく、アポもなく突然。それは芸能人としてどうなんでしょうか。なんか登場人物みんながやばいんですよね。

 南極に行きたくないのは分かる気もするけど、なんというか無茶すぎるというか。

 南極に行きたくないという彼女にとって、それは理に叶った行動のように見えますが、流れが自然すぎてかえって不気味。ストーカーですかね。

 

 

 そして、ユヅキを追いかけて母でマネージャーの民子がやってきます。何故母も家を知っている……。そしてなぜ母は娘がシラセの家に行ったことを知っている……。なんかもう世界観が恐ろしすぎるよ。そりゃあ、めぐっちゃんも不安になるよね、こんな人たちがそばにいたら。

 

 

〈第4話〉

 

 第3話で紆余曲折あり、4人で南極に行けることが決定しました。そこでこの回では南極に向かうための準備が始まります。

 

 まずは親の許可が必要になります。南極に未成年を連れていくのだから当然かな。しかし親の同意もなくハンコを押してしまうキマリ。当然のごとく叱られます。まあ当然。キマリは何を考えているのでしょう……。

 

 

 また、南極に行くために合宿が始まります。やはり南極。死と隣り合わせの極地に行くためには経験と知識、そして体力も必要なのだろう。ようやく観測隊っぽくなってきたと少しワクワク度が高まりました。

 

 ここで実践ということで計測を始めます。ここでアニメを進めるうえで解説役が必要ということは分かるのですが、それが多すぎるあまり、この人たちちゃんと勉強したのかなという不安ばかりが高まります。

 「○○ってなんだっけ?」「△△じゃなかった?」みたいなやりとりばかり。南極にいくというのに何も知識がないのでは?大丈夫かな。

 

  

〈第5話〉

 

 いよいよ南極への出発を目前に控えたころ。

 荷造りをするキマリは、昔めぐっちゃんに貸してもらったゲームを見つけるというめぐっちゃん回になります。

 

 

 ここではキマリとめぐっちゃんの対立が描かれています。

 めぐみは変わっていくキマリと自分を見比べて、劣等感に蝕まれます。

 一方のキマリはそんなめぐみの心情に全く気付かず生活。

 そんな不満が積もり積もり出発当日、めぐっちゃんがキマリに絶交すると打ち明けます。

 

 キマリは自分と似ていた存在と思っていた。キマリの慌てた性格を冷静に俯瞰することでめぐっちゃんはキマリを下に見ていた。

 

 しかし、シラセと出会うことでキマリはだんだんと変わっていきます。自分と同じだと思っていた、自分だけのものと思っていた人物が離れていくのは悲しいですね。そんな自分ではどうにもならないキマリの行動・感情に対し嫉妬してしまいます。

 その結果、今までの間接的にキマリや「南極」に悪意を向けさせてしまいます。

 

 これはなかなかに重いシーン。人間の汚い部分を感じさせる、ドラマとしては非常にいいシーンだと思います。

 汚い部分は誰にでもあるはずで、だからこそその解決策や終着点は問題になるところだと思います。 めぐっちゃんの場合、自分の弱さを認めることができず、けれどそんな自分自身を変えることができず、悩み・葛藤してどうしようもなくなってキマリのもとを訪れます。

 

 どうにか出した助け船。ここでキマリがなんて答えるのか、かなり重要だと思っていました。

 

 

 そこでキマリが放った一言。

 「一緒に南極いこう」。

 そして、一人語りが始まります。『私たちは踏み出す。今まで頼りにしていたものが何もない世界に。』

  「絶好無効」 キマリはめぐっちゃんにそれだけ言うと、空港に向かいます。

 

 

 は?????は????

 

 何だこれ。何だこれ?

 ちょっと思わず2回言ってしまった。

 いやいやいや、なんだこれと。このシーンは何だと。このシーンのせいで、もうこのアニメは向いていないなと思いました。この瞬間、一番してはいけないことをキマリはしたと思いました。

 

 

 さんざん親友を放置しておいて、そんなセリフはないだろと憤りすら感じてしまいました。しかも、めぐっちゃんがの痛切な思いをキマリに向けたにもかかわらず、当のキマリから出てきた言葉は「一緒に南極に行こう」。

 は??? めぐっちゃんはそんなキマリが羨ましくて、けどそんなキマリになれない矛盾に苛まれていたのに、よりにもよって「南極に行こう」なんて言葉をかけるか、普通。皮肉にもほどがないか?

 親友が奪われた居場所に勧誘されたひとのことは全く考えていない。なんか淡泊というか、無責任というか。これが親友だったのかなと言えるほどの関係。なんで南極に行こうなんて誘ったんだよ。なんだか空港に急いで向かうために適当に流しただけとしか見えませんでしたね。

 「絶好無効」とだけ言って逃げるのはずるいというかナンセンスというか。良い逃げばっかりというキマリの大雑把で無頓着な性格を体現してる。その悪い部分が前面に出たという最悪な回でしたね。正直胸糞悪かったです。

 

  いやでも、期待はほとんど期待していないけどこれが伏線となり、最終話あたりでうまく回収する。そんな淡い希望を胸に見続けることにしました。

 

 

 

 

 

 

〈第6話〉 

 

 

 出発地であるオーストラリアに向かうため、中継地としてシンガポールを訪れます。 

  そこで、ヒナタがパスポートを無くすという事件を起こします。一度自分の荷物を確認しますが見つからず、そのまま三人と遊びに出掛けます。

 

  いや、探せよ!早く警察か大使館に連絡しろよ!パスポート無かったらどこも行けないじゃん。何でそのまま過ごしてるの??

 

   その後、パスポートがないことがバレて探してみるも、見つからず……。パスポートを再発行しようとするも、翌日が日曜日であるため、乗る予定だった飛行機に間に合わないという事実。

 そんなことになるのだから、初めから皆に知らせて再発行してもらうとか、いくらでも手法があるのに。

 

  これは大きなプロジェクトにかかわる人としてどうなの、という疑問がわきました。高校生といえど、参加するならばそれなりの責任は必要だと思います。創作だからとかほのぼのアニメだからと言われてしまえばそれまでですが、正直そこが気になりすぎて話が全然入ってきませんでした。 

 

 この作品に申したい部分はここの部分。作品を見続けるうちに、こんな女子高生を乗せるこの観測隊は大丈夫かと心配をしてしまいます。口先だけで実際の気持ちが弱すぎる。プロ意識が足りない。「ほう・れん・そう」すらできない輩が南極で共同生活ができるとは到底思えません。先見の明が足りなすぎる。

 

  そんなフワッとした浅はかな考えしか持たないヒナタに対し、シラセは次々と突っ込みます。それは当然ですよね。それだけの大事態。すぐさま解決するおが一般人の行動であり、規範。

 ヒナタはそんなシラセに対し「ツッコミ鋭っ!」とします。は???なんだこいつ。南極に行けなくなったり、予定がすべて狂ったら全部お前のせいになるんだぞ???計画どうするんだよ。到着日はふつう守るだろ。

 

 

 そして、到着日を変えるしかないという話になりました。三人は到着日を変えるという雰囲気になりますが、シラセはそれに反対。いや、それはそうだろ。約束を守れ。

 そして、それを探している時点でまずは連絡をしろ。上の人はどれだけ苦労すると思っているんだ。ほんとに浅はか。何も考えていないことがわかるりますね。

  ここまでくると、もうそういう目線でしか見れなくなってしまいました。

 

 もう、この回がきっかけですね。もう怒りしか感じません。なんだろう、やはり期待が大きすぎた分、ショックが大きかったですね。 

 

 

 

 そして今回の終盤。

 シンガポールの空港で予定日を変えず、チケットを購入しようと交渉を始めますが、席の関係でそれは叶いませんでした。

 そこで飛び出すシラセ。ズカズカと進み、封筒に入った100万円をたたきつけます。 

 

 集団羞恥で鳥肌がたってしまった。こいつはなぜシンガポールの空港で堂々と日本円を出しているのか。気持ち悪いと思ってしまった。直情的とかそういう類ではなく、ただ気持ち悪いと。ただのバカにしかみえない彼女ら。

 

  そしてラストシーン。ビジネスクラスに変更することで、予定日を変更しないチケットを購入することに成功しました。

 しかしそこでヒナタのパスポートがシラセの鞄から発見されます。もうこれに関して、あきれて言葉が出てきませんでした。

 そしてハッピーエンドということでエンディングが流れ始める。がそのころにようやく感想が追い付きまして。

 「これはひどい

 この一言に尽きました。。ほのぼのだからとか言う理由は済まされないひどさがそこにはありました。

 

 

 

 

 

 〈まとめ〉

 

 今回だけでかなり長くなってしまったので、続きはまた明日アップしたいと思います。

 

 とまあ、ここまで長くなってしまったわけなのですが、見ていてこれはどうだったでしょうか?

 よりもいを見ていて気になることはなかったのでしょうか。これは個人の感想になると思うので、感じ方は様々だと思います。

 そういう見方もあるんだね、と軽い気持ちで捉えていただけたら幸いです。

 

 しかし、制作陣にはどうしても言いたいことがあるので、感想は後半も書きたいと思います。

 ではまた今度。